「事業を始めるために融資を受けたいけれど、銀行は何を見ているの?」
「創業したばかりでも融資を受けられる?」
「融資を申し込む前に、何を準備すればいい?」
初めて金融機関から融資を受ける方にとって、融資審査は分かりにくいものです。
銀行は、単純に「お金を借りたい」という希望だけを見て融資を決めるわけではありません。
「貸したお金をきちんと返済できる事業なのか」
という視点から、事業内容や資金使途、収支計画などを確認します。
特に創業者の場合、まだ十分な売上実績がないため、「これからどのように事業を成長させ、
融資を返済していくのか」を分かりやすく説明することが重要です。
今回は、融資初心者の方が特に知っておきたいポイントを5つに絞って解説します。
1.「何のために、いくら借りるのか」を明確にする
融資を申し込む際、最初に考えておきたいのが、
「何のためにお金が必要なのか」
ということです。
例えば、
「事業を始めるので500万円借りたいです」
という説明だけでは、具体性がありません。
500万円が必要なのであれば、
- 店舗の内装費:200万円
- 設備購入費:150万円
- 仕入資金:100万円
- 広告費:30万円
- その他:20万円
というように、何にいくら使うのかを整理しておきましょう。
「とりあえず借りておこう」は避ける
創業者の中には、
「今後何かに使うかもしれないから、多めに借りておこう」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、必要以上の借入をすると、当然ながら将来の返済負担も大きくなります。
例えば、
500万円を借りる場合
と
1,000万円を借りる場合
では、同じ事業内容でも必要な返済資金が大きく変わります。
そのため、
「必要な金額を計算する→その金額を調達する」
という順番で考えることが大切です。
2.売上・利益・資金繰りを説明できるようにする
銀行融資を受ける際には、「どれくらい売上があるか」だけでなく、「そこからどれくらい利益が残り、借入金を返済できるのか」が重要です。
金融機関が確認したいのは、
「この事業は継続的に利益を生み出し、借りたお金を返済できるのか?」
という点です。
そのため、創業者は最低限、売上・利益・資金繰りの3つを説明できるようにしておきましょう。
① 売上は「根拠」まで考える
例えば、
「年間売上3,000万円を予定しています」
と説明するだけでは、なぜ3,000万円になるのか分かりません。
例えば飲食店なら、
客単価2,000円 × 1日40人 × 月25日営業
とすると、
月商200万円 → 年間売上2,400万円となります。
このように、
「誰に、何を、いくらで販売して、どれくらいの顧客を獲得するのか」
まで考えておくことが大切です。
② 売上だけでなく「利益」を確認する
売上が大きくても、経費が多ければ利益はほとんど残りません。
例えば、
年間売上:3,000万円
経費:2,500万円
利益:500万円
であれば、売上3,000万円に対して500万円が残ります。
一方、
年間売上:3,000万円
経費:2,900万円
利益:100万円
であれば、同じ売上でも利益は大きく違います。
そのため、売上-経費=利益という基本的な関係を理解しておきましょう。
③ 「利益」と「手元のお金」は違う
融資を考えるうえで、もう一つ重要なのが資金繰りです。
例えば、
売上200万円-経費170万円=利益30万円
だったとしても、手元に30万円がそのまま残るとは限りません。
借入金の返済や税金、設備投資などの支払いがあるためです。
例えば、
利益30万円
↓
借入金返済10万円
↓
税金など5万円
となれば、単純計算で残るのは15万円です。
そのため、
「利益がいくら出るか」だけではなく、「実際に口座にいくら残るのか」
まで考える必要があります。
融資を受ける前に、この3つを整理しておこう
融資を申し込む前に、最低限以下を整理してみましょう。
①売上
「年間・月間でどれくらい売れるのか」
↓
②利益
「売上から経費を引いて、いくら残るのか」
↓
③資金繰り
「借入返済や税金などを支払った後、手元にいくら残るのか」
この3つを整理するだけでも、自分の事業に**「いくらの融資が必要なのか」**が見えやすくなります。
3.「なぜその事業で成功できるのか」を説明する
創業者の場合、既存企業と大きく違うのが、過去の事業実績がない、または少ないことです。
そこで重要になるのが、
「経営者自身にどのような経験・知識があるのか」
という点です。
例えば飲食店を開業する場合、
「飲食店を経営したいです」
だけではなく、
「これまで飲食店で10年間勤務し、店長として店舗運営やスタッフ管理を経験しました。その経験を生かして、○○をターゲットとした店舗を開業します」
と説明できれば、事業を始める背景が分かりやすくなります。
もちろん、経験がないから絶対に融資を受けられないということではありません。
その場合でも、
- なぜこの事業を始めるのか
- 顧客は誰なのか
- 競合との差別化は何なのか
- どのように顧客を獲得するのか
- なぜその売上を見込めるのか
などを具体的に考えておくことが重要です。
つまり、
「やりたい事業」ではなく、「どうすれば事業として成立するのか」
まで考えることがポイントです。
4.「借りた後にどう返すのか」を考える
融資では、「いくら借りられるか」だけでなく、「どのような条件で借りるのか」も重要です。
特に確認したいのが、
- 借入金額
- 返済期間
- 毎月の返済額
- 金利
- 返済開始時期
などです。
返済期間によって負担は変わる
例えば、500万円を借りた場合、金利を考慮しなければ、
5年間返済 → 月約8.3万円
10年間返済 → 月約4.2万円
となります。
返済期間を長くすれば毎月の負担は小さくなりますが、一般的にはその分、支払う利息が増える可能性があります。
そのため、
「毎月無理なく返済できるか」と「総返済額はいくらになるか」
の両方を確認しましょう。
「借りられる額」ではなく「必要な額」を借りる
金融機関から多くの融資を受けられる場合でも、必要以上に借りる必要はありません。
例えば、事業に必要な資金が500万円なら、「最大1,000万円借りられるから1,000万円借りる」ではなく、本当に必要な金額を検討することが大切です。
借入額が増えれば、その分だけ将来の返済負担も増えるからです。
5.税金・自己資金・既存借入なども含めて「事業全体」を見せる
最後に重要なのが、融資だけを単独で考えないことです。
事業に必要な資金は、
自己資金+融資+その他の資金
などを組み合わせて準備します。
例えば、
事業に必要な資金:1,000万円
自己資金:300万円
融資:700万円
という資金計画を立てることができます。
さらに、融資を受けた後には、
- 借入金の返済
- 税金
- 社会保険料
- 仕入代金
- 人件費
- 家賃
- その他の経費
などの支払いがあります。
つまり、
「1,000万円あれば事業を始められる」
だけではなく、
「事業開始後も資金が不足しないか」
まで考える必要があります。
税金の支払いも忘れない
創業直後は売上を増やすことに集中してしまい、税金の支払いを忘れてしまうケースもあります。
しかし、事業を続けて利益が出れば、所得税や法人税、消費税などの税負担が発生する可能性があります。
そのため、利益が出たからといって、
「口座にあるお金を全部使っていい」
とは限りません。
将来の税金やその他の支払いも考慮して、資金を残しておくことが大切です。
まとめ
初めて融資を受ける方は、
「銀行からいくら借りられるか」
ばかりを考えてしまいがちです。
しかし、本当に重要なのは、
「なぜその金額が必要なのか」
「そのお金を何に使うのか」
「借りた後、どうやって返済するのか」
を明確にすることです。
特に創業者の場合は過去の実績が少ないため、事業計画と資金計画をできるだけ具体的な数字で説明できるように準備しておくことが重要です。
融資は、単に「足りないお金を補うための手段」ではありません。
事業を成長させるための資金を、無理のない返済計画で調達すること
が大切です。
これから融資を検討している方は、まず今回の5項目を整理してから金融機関への相談・申し込みを検討してみましょう。


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