「これって経費になる?」個人事業主・法人が迷いやすい経費を初心者向けに解説

税金・会計

事業を始めると、日々さまざまな支払いが発生します。

その中で意外と多いのが、

「この支払いは経費にしていいの?」

という疑問です。

例えば、自宅で仕事をしている場合の家賃やスマートフォン代、取引先との飲食代、仕事で使うスーツなど、事業とプライベートの両方に関係する支出は判断に迷いやすいでしょう。

また、「仕事で使ったから経費にできる」と単純に考えてしまうのも危険です。

重要なのは、その支出が事業を行うために必要だったことを説明できるかという点です。

この記事では、個人事業主や法人が特に迷いやすい支出を取り上げ、単なる「経費になる・ならない」の説明ではなく、実際に経理処理するときの考え方や注意点まで解説します。


1.そもそも「経費」とは?

経費とは、簡単にいうと、事業を行うために必要となった費用です。

例えば、飲食店であれば、

  • 食材の仕入れ
  • 店舗の家賃
  • 電気代
  • 従業員の給与
  • 広告費

などが事業に必要な支出となります。

一方、事業とは関係のない、

  • 個人的な旅行
  • 趣味の買い物
  • プライベートの食事

などを経費にすることはできません。

気を付けてほしいのは、「お金を使った=すべて経費」ではないということです。

さらに、事業に関係する支出であっても、全額を経費にできるとは限らないケースがあります。


2.経費にできるか判断する基本ルール

経費かどうか迷ったときは、まず、

「この支出は事業を行うために必要だったと言えるか?」

と考えてみましょう。

例えば、事業用のパソコンを20万円で購入した場合。

仕事で使用するのであれば事業との関係性は明確です。

しかし、仕事50%・プライベート50%

という使い方であれば、単純に全額を事業の経費として扱うのではなく、事業で使用している部分を合理的な方法で区分するという考え方が必要になります。

このような処理を一般に家事按分と呼びます。

「税金を減らしたいから経費にする」はNG

経費を増やせば所得が小さくなり、結果として税負担が小さくなる場合があります。

しかし、

「税金を安くしたいから、とりあえず経費にする」

という考え方は適切ではありません。

税務調査などで、「なぜこの支出が事業に必要だったのですか?」と聞かれたときに、

合理的に説明できる状態にしておくことが重要です。


3.自宅の家賃・光熱費は経費になる?

個人事業主が自宅を仕事場として使用している場合、家賃や電気代などを事業に使用している部分について経費にできる場合があります。

例えば、自宅の一室を仕事専用の事務所として使用しているケースです。

ただし、「自宅の家賃10万円だから、10万円全部経費」とは限りません。

事業で使用している割合を合理的に計算する必要があります。

例えば、面積を基準にして、事業使用部分30%と判断した場合、

家賃10万円 × 30%
3万円 を事業分として処理する、という考え方があります。

(実際の按分方法は支出の内容や利用状況によって異なることがあります。)


4.スマートフォン・インターネット料金は?

スマートフォンやインターネット料金は、事業を行ううえで必要になることが多い支出です。

例えば、

  • 取引先との電話
  • 顧客からの問い合わせ対応
  • メールの送受信
  • オンライン会議
  • インターネットを使った情報収集
  • SNSやホームページの更新
  • ネットショップの運営

などに使用している場合です。

ただし、個人事業主の場合、仕事とプライベートの両方で同じスマートフォンやインターネット回線を使用しているケースも多いでしょう。

重要なのが、「事業で使用した部分とプライベートで使用した部分を分けて考える」ということです。

仕事とプライベートの両方で使っている場合

例えば、スマートフォンの月額料金が、月10,000円だったとします。

そのスマートフォンを仕事でもプライベートでも使用している場合、

「仕事でも使っているから10,000円全額を経費にする」

と単純に考えるのではなく、事業で使用している割合を合理的な基準で計算するという考え方があります。

例えば、事業での利用割合を50%とする合理的な根拠がある場合、

10,000円 × 50% = 5,000円

というように、事業使用分を経費として考えることになります。

年間では、5,000円 × 12か月 = 60,000円です。

仕事専用のスマートフォンや回線なら管理しやすい

もし事業での利用が多くなってきたのであれば、

「事業専用のスマートフォン・回線を用意する」のが一番良いです。

例えば、

仕事用スマートフォン

  • 顧客との電話
  • 取引先との連絡
  • 業務用メール
  • 仕事用SNS

などに限定します。

一方、個人用スマートフォンはプライベートで使用します。

このように事業用とプライベート用を分ければ、経費管理がシンプルになります。

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5.車の購入費・ガソリン代は?

営業や商品の配送、現場への移動などで車を使用する事業では、車にかかる費用を経費として処理できる場合があります。

ただし、車はプライベートでも使用できるため、

「仕事で使っているから車にかかった費用は全部経費」

と考えないことが重要です。

特に個人事業主の場合は、事業用とプライベート用の利用を区分する必要があります。

車の購入代金は、原則として一度に全額を経費にはしない

例えば、事業で使用するために、300万円の車を購入したとします。

「300万円支払ったのだから、300万円をその年の経費にする」と考えてしまいがちですが、一定の固定資産については、原則として減価償却によって複数年にわたって費用として計上します。

つまり、

車を購入する

固定資産として計上

耐用年数などに応じて減価償却 という流れです。

そのため、高額な車を購入したからといって、購入した年の経費が購入金額分だけ一気に増えるとは限りません。

仕事とプライベートの両方で使う場合

個人事業主の場合、車を、

  • 平日は取引先への訪問に使用
  • 休日は家族との買い物に使用

というように、仕事とプライベートの両方で使うことがあります。

この場合、車にかかる費用をすべて事業経費にするのではなく、事業で使用している部分を合理的に区分するという考え方が必要になります。

例えば、走行距離などを基準として、

年間走行距離:10,000km
事業での走行距離:6,000km

だった場合、

6,000km ÷ 10,000km = 60% となります。

このように、実際の利用状況をもとに事業使用割合を考えることができます。

ガソリン代も同じ考え方

ガソリン代についても同様です。

例えば、

1年間のガソリン代:20万円 で、事業利用割合を60%とする合理的な根拠がある場合、

20万円 × 60% = 12万円 を事業分として考えることになります。

「仕事専用の車」にすると管理しやすい

事業で車を頻繁に使用するのであれば、「事業専用車両」として管理する方法が得策です。

例えば、

  • 取引先への訪問
  • 商品の配送
  • 現場への移動
  • 仕入れ

など、事業目的だけで使用する車です。

プライベート用の車と分ければ、どこまでが事業に関係する支出なのかを判断しやすくなります。

~ ↓ ガソリンについては「ガソリンカード」を利用して区分するのがおすすめです。 ~


6.飲食代・接待費は?

取引先との食事や打ち合わせなどの飲食代も、判断に迷いやすい支出です。

例えば、取引先との商談を兼ねた食事であれば、事業との関連性を説明できる可能性があります。

一方、

友人とのプライベートな食事

を「仕事の話をしたから」という理由だけで経費にするのは適切ではありません。

「誰と、何の目的で飲食したのか」を後から説明できるようにしておくことです。

領収書だけでは、相手や目的が分からないことがあります。

そのため、

「○月○日 ○○株式会社○○氏と商談」

など、必要な情報を記録しておくと管理しやすくなります。

なお、法人の場合は交際費について税務上の別のルールもあるため、単純に「取引先との飲食=全額経費」と考えないようにしましょう。


7.スーツ・パソコンは経費になる?

仕事で使用するスーツやパソコン、デスクなども判断が分かれやすいところです。

パソコン

仕事専用で使用しているのであれば、事業との関連性を説明しやすいでしょう。

一方、プライベートでも使用している場合には、利用実態を考慮する必要があります。

また、一定金額以上の資産については、減価償却などの処理が必要になる場合があります。

スーツ・衣服

「仕事で着るから」というだけで、一般的なスーツや衣服を当然に全額経費にできるとは限りません。

プライベートでも使用できる衣服は、事業専用の支出なのかという点が問題になりやすいからです。

一方、業務上必要な特殊な制服など、事業との関連性が明確なものは考え方が異なります。

高額な商品を購入するときは特に注意

もう一つ覚えておきたいのが、

「購入金額が大きいものは、購入した年に全額経費になるとは限らない」という点です。

例えば、30万円のパソコンを購入した場合、

通常の経費処理ではなく、固定資産として扱い、減価償却が必要になる可能性があります。

ただし、青色申告をしている個人事業主などには、一定の要件を満たせば少額の減価償却資産について特例を利用できる場合があります。

金額や事業者の状況によって処理方法が変わるため、高額な商品を購入するときは事前に確認しておくと安心です。


8.経費にするときにやってはいけないこと

経費処理で避けたいのが、

「後から見ても何の支出なのか分からない状態」です。

例えば、領収書だけを保管していて、

「これは何のために使ったお金だったっけ?」

となってしまうと、後から事業との関係性を説明しにくくなります。

特に、

  • 飲食代
  • 交通費
  • 出張費
  • 打ち合わせ費用
  • 家事按分する費用

などは、目的や事業との関係を記録しておくと安心です。

また、プライベートの支出を意図的に経費として計上することは避けなければなりません。


9.経費をきちんと管理する方法

経費管理でおすすめなのは、事業用のお金とプライベートのお金をできるだけ分けることです。

例えば、

事業用銀行口座

事業用クレジットカード

事業に関する支払い という形にすると、後から取引を確認しやすくなります。

さらに会計ソフトを利用すれば、銀行口座やクレジットカードの取引を取り込んで、経費を整理することもできます。

特に創業直後から、「事業用とプライベートを混ぜない」という習慣を作っておくと、

確定申告や決算の際の負担を減らしやすくなります。


まとめ

経費について考えるときに一番大切なのは、

「この支出は事業のために必要だったと説明できるか?」

という視点です。

特に、自宅の家賃・スマートフォン・車・飲食代・衣服・パソコンなどは、

事業とプライベートの両方に関係しやすいため注意が必要です。

また、個人事業主の場合は家事按分、高額な資産については減価償却など、単純に「領収書があるから経費」というわけではないケースもあります。

創業したばかりの時期から、

事業用口座を作る → 事業用カードを使う → 領収書・利用目的を記録する → 定期的に会計処理する

という流れを作っておくと、後々の確定申告や決算も進めやすくなります。

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なお、経費として認められる範囲や処理方法は、個人事業主か法人か、支出の内容、金額、利用状況などによって異なります。 判断が難しい支出については、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

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