【事業者向け】「保証人になって」と頼まれたら要注意!経営者が知っておきたい保証・連帯保証のリスク

金融トラブル

はじめに

事業を始めると、融資やリース契約、取引先との契約など、さまざまな場面で「保証」という言葉が出てきます。

例えば、

「名前だけ貸してもらえれば大丈夫です」
「会社の契約だから個人には関係ありません」
「万が一のときだけ保証してもらえれば大丈夫です」

このような説明を受けることがあるかもしれません。

しかし、保証人になるということは、単に名前を貸すだけではありません。

契約内容によっては、主たる債務者が支払えなくなった場合に、保証人が支払いを求められる可能性があります。

特に「連帯保証人」は、通常の保証人とは異なる重要な責任を負うため、内容を理解しないまま契約するのは危険です。

この記事では、保証についてあまり詳しくない創業者・個人事業主・中小企業経営者の方に向けて、

保証人になる前に知っておきたいポイントをできるだけ簡単に解説します。


1.そもそも「保証人」とは?

簡単にいうと、保証人とは、

「借りた本人が返済できなくなった場合などに、一定の範囲で代わりに支払う責任を負う人」です。

例えば、A社が金融機関から500万円を借り、Bさんが保証人になったとします。

A社が正常に返済している間は、Bさんが実際に返済する場面は通常ありません。

しかし、A社の経営が悪化して返済できなくなった場合、契約内容によってはBさんが返済を求められる可能性があります。

つまり、

「今は自分がお金を借りていないから関係ない」とは限りません。

保証契約を結ぶ前に、

  • 誰の債務を保証するのか
  • いくらまで保証するのか
  • どのような場合に責任が発生するのか
  • 保証期間はいつまでなのか

などを確認することが重要です。


2.「保証人」と「連帯保証人」は同じではない

「保証人」と「連帯保証人」は、どちらも「本人が借金などを返済できなくなった場合に責任を負う人」というイメージがあります。

しかし、法律上は同じではありません。

特に事業者の方が注意したいのが、連帯保証人になると、保証人よりも債権者から直接支払いを求められる立場が強くなるという点です。

「保証人も連帯保証人も、結局は本人が払えなかったときに払うだけでしょ?」

と考えてしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

そもそも「保証人」とは?

例えば、Aさんが金融機関から500万円を借り、Bさんが保証人になったとします。

Aさんが通常どおり返済している間は、Bさんが返済する必要はありません。

しかし、Aさんが返済できなくなった場合、一定の条件のもとでBさんに支払いを求められることがあります。

ただし、通常の保証人には、法律上、

「まずは借主本人に請求してください」

と主張できる「催告の抗弁権」や、

「まずは借主の財産から回収してください」

と主張できる「検索の抗弁権」などが認められています。

特に事業者の場合、融資契約などで保証が関係することがありますので、契約書をよく確認しましょう。

では「連帯保証人」は何が違う?

連帯保証人になると、こうした保証人に認められている一定の抗弁権を主張できないため、債権者から直接支払いを求められる可能性があります。

例えば、

Aさんが500万円を借りる

Bさんが連帯保証人になる

Aさんが返済できなくなる

金融機関からBさんに返済を求められる

というケースです。

Bさんが、

「まずAさんに請求してください」

「Aさんには財産があるので、まずAさんから回収してください」

と単純に主張できるわけではありません。

そのため、連帯保証人は非常に重い責任を負う可能性があります。

事業者は「保証人」という言葉だけで判断しない

事業に関する契約では、

  • 銀行融資
  • リース契約
  • 事業用物件の賃貸借契約
  • 取引契約
  • 借入契約

など、さまざまな場面で保証が関係することがあります。

そのため、

「保証人になってください」

と言われたら、単に「保証人」という言葉だけを見るのではなく、契約書にどのような立場として記載されているのかを確認しましょう。

特に、「連帯保証人」と書かれている場合には、安易に署名・押印しないことが大切です。


3.ケース①「友人の会社だから」と保証人になる

例えば、知人から、

「会社を始めるから融資を受けたい。保証人になってもらえないか?」

と頼まれたとします。

知人との付き合いが長いと、

「昔からの友人だから大丈夫だろう」と考えてしまうかもしれません。

しかし、会社経営には、

  • 売上減少
  • 赤字
  • 取引先の倒産
  • 資金繰り悪化
  • 設備投資の失敗

など、さまざまなリスクがあります。

現在の経営状況だけを見て、「この会社なら大丈夫」と判断するのは危険です。

保証を依頼された場合には、感情だけで判断せず、契約内容や保証範囲を確認しましょう。


4.ケース②「名前だけだから」と考えてしまう

例えば、

「実際にお金を借りるのは会社だから」
「あなたがお金を使うわけではないから」
「書類に名前を書くだけだから」

と言われるケースです。

しかし、保証契約を結ぶことで、法的には債務を負担することになりますので、

金融機関などの債権者から実際に請求された場合には拒むことは不可能です。

その段階になってからでは遅いので、「自分がお金を受け取らない=責任がない」とは

考えないようにしましょう。

保証契約への署名を求められたら、まず契約書を確認することが大切です。

「返済するのは本人」という説明にも注意

保証契約を結んだからといって、最初から保証人が返済するわけではありません。

基本的には、まず主債務者が契約どおりに返済します。

そのため、

「今まで一度も返済を求められていないから、自分には責任がない」

と思ってしまうことがあります。

しかし、主債務者の返済状況が悪化した場合には、保証契約の内容に応じて保証人の責任が問題になることがあります。

特に連帯保証人の場合は注意が必要です。

連帯保証人には、通常の保証人に認められる「まず本人に請求してください」などの一定の抗弁権が認められていません。

そのため、「本人が払えなくなってから考えればいい」

という認識ではなく、契約した時点で自分がどのような責任を負うのかを理解しておくことが重要です。

こんな言葉が出てきたら、一度立ち止まろう

次のような説明を受けた場合は、契約内容を確認してから判断しましょう。

「名前を書くだけだから」

保証契約なら、法的な責任が発生する可能性があります。

「絶対に迷惑をかけないから」

将来の会社の経営状況まで保証してくれるわけではありません。

「会社が返すから大丈夫」

会社が返済できなくなった場合の保証人の責任を確認する必要があります。

「みんな保証人になっているから」

他人が引き受けていることと、自分が負う責任は別問題です。

「今日中に署名してほしい」

急かされても、内容を理解する前に署名しないことが重要です。


5.ケース③「会社の借入だから個人には関係ない」と思う

例えば、

法人が金融機関から融資を受ける

経営者個人が保証する

という契約になっている場合があります。これは金融機関の融資においては良くあることです。

この場合も、「会社のお金だから、会社が返せなくなったら会社だけの問題」とは限りません。

自分が保証人となっている場合には、保証契約の内容に応じて個人として責任を負う必要があります。

法人と個人は法律上別の存在ですが、保証契約を締結した場合は別途、個人としての責任が発生する可能性があることを理解しておきましょう。


6.ケース④「少額だから大丈夫」と考える

例えば、

「100万円程度だから問題ない」
「会社の規模から考えれば小さい金額だから」

という理由で保証を引き受けるケースです。

しかし、事業が悪化すると返済が滞り延滞扱いとなるため、

  • 元金
  • 利息
  • 遅延損害金
  • その他契約上の負担

などが問題になる場合があります。

※一般的に遅延損害金は14%を超える契約となっていることが多いです。

また、複数の契約で保証人になっている場合、それぞれの負担が積み重なる可能性もあります。

借入した金額に上乗せされ請求されることになりますので、金額が小さいから安全とは限りません。


7.ケース⑤「契約書を読まずにサインする」

金融機関や取引先から書類を渡されると、

「ここに署名してください」

と言われ、そのまま署名してしまうことがあります。

しかし、保証契約では、

  • 保証の範囲
  • 保証期間
  • 保証する債務
  • 連帯保証なのか
  • その他の契約条件

などを確認する必要があります。

分からない言葉があれば、「これはどういう意味ですか?」と確認して構いません。

(そもそも、金融機関には契約時に詳しく説明する義務があります)

後々のトラブルに繋がりますので、重要な契約ほど分からないまま署名しないことが大切です。


8.ケース⑥「一度保証したら終わり」だと思ってしまう

保証について、

「今回の借入だけ保証するんだろう」

と思っている人もいるかもしれません。

しかし、契約によって保証の対象や範囲は異なります。

特に継続的な取引や一定の範囲の債務を対象とする保証では、契約内容を正確に確認する必要があります。

「根保証」という仕組みにも注意

事業者が保証について理解するうえで、知っておきたい言葉の一つが、

「根保証」です。

一般的なイメージとしては、

「この500万円の借入について保証します」

というように、特定の債務を保証する場合があります。

一方、根保証では、一定の範囲に属する不特定の債務について、あらかじめ定めた限度額(極度額)の範囲内で保証するという仕組みがあります。

例えば、

「A社が金融機関に対して負担する一定の債務について、極度額1,000万円を限度として保証する」

といった契約です。

この場合、「最初の500万円だけ保証する」という単純な話ではない可能性があります。

そのため、「何に対して、いつまで、いくらまで責任を負うのか」を確認しましょう。

「会社を辞めたから保証も終わる」とは限らない

事業者の方が特に注意したいのが、会社の役員や経営者を辞めた場合です。

例えば、

「会社の代表取締役を辞めたから、以前の保証も自動的に消えるだろう」と考えるのは危険です。

保証契約がどのような内容になっているのか、また保証を終了させるためにどのような手続きが必要なのかを確認する必要があります。

つまり、

「会社との関係がなくなった=保証責任も自動的になくなる」

とは限らないということです。

退任・事業承継・会社売却などの場面では、既存の保証契約についても確認することが重要です。


9.保証を頼まれたら確認したい5つのポイント

保証人になる前に、最低限次の項目を確認しましょう。

①誰のための保証なのか

個人なのか、法人なのかを確認します。

②何を保証するのか

融資なのか、リースなのか、取引上の債務なのかを確認します。

③保証する金額はいくらなのか

契約書上の保証範囲を確認します。

④いつまで保証するのか

保証期間や契約終了条件を確認します。

⑤連帯保証なのか

「保証人」と「連帯保証人」では意味が異なるため、必ず確認しましょう。


まとめ

事業を始めると、融資やリース、取引などで「保証」という言葉が出てくる機会があります。

しかし、

「名前を貸すだけ」

「少額だから大丈夫」

「会社の契約だから自分には関係ない」

と簡単に考えてしまうのは危険です。

特に連帯保証の場合には、主債務者の返済状況によっては保証人自身が大きな負担を負う可能性があります。

保証契約を結ぶ際には、

  • 誰のための保証なのか
  • 何を保証するのか
  • 保証範囲はいくらなのか
  • 保証期間はいつまでなのか
  • 連帯保証なのか

を確認しましょう。

「よく分からないけど、とりあえずサインする」という行動だけは避けてください。

なお、実際の保証責任は契約内容や個別事情によって異なります。この記事は事業者向けの一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・契約上の判断については専門家への相談をおすすめします。

金融トラブルについては、金融庁も無登録業者や不適切な金融取引への注意喚起を行っています。例えばファクタリングについても、ファクタリングを装った高金利の貸付けに注意するよう案内されています。(金融庁)


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